環境問題とタックス

包括的な環境税は、その他の多くの分野でも経済活動に変化をもたらすものです。


バージン資源の使用、有害廃棄物の生成、酸性雨をもたらす汚染物質の発生、地下水の汲み上げすぎなどに罰則が課されることもありうるのです。


イデルベルクの環境アセスメント研究所の研究チームは、旧西ドイツに対して各種の税金の賦課を提案しました。


その課税により総計2100億マルク(1360億ドル)以上の税収が期待されました。


研究員たちは30種類を超える「エコ・タックス」(環境税)の可能性を分析し、各品目ごとに、消費パターンに顕著な変化をもたらすであろう課税レベルを決定しました。


消費の大幅な削減を実現するには、価格を2倍あるいは3倍にしなければならないケースもありました。


たとえば、農薬の使用を半減するには、現行の農薬価格のほぼ200パーセントの課税が必要だったのです。


この西ドイツの例ほど包括的な調査はアメリカ合衆国ではまだ行われていませんが、現在、適用できるとされる8つのグリーン・タックスのリストがあり、これによると環境を守りながら税収入を大きく増やす可能性があることがわかります。

社会と科学知識 10

焦点は実際の人間の組織に向けられているべきであって、それを観察するための種々のメディアにあるのではありません。


この年齢の生徒にこの種のコースを課するためには、苦心の跡が見えてはなりません。


学問的研究、著名な学者の名前の言及、ながったらしい術語の使用とか、その他こまごましたひどく学術的なことの引用等を避けなければなりません。


また先端科学を盛り込み過ぎるのも良くないのです。


高校高学年の科学者の卵の中には初等的な物理学すらほとんど知らない生物学者の卵もいます。


一方、物理学や化学希望の生徒は、生物学をほとんど勉強していません。


STSコースはこの2つのグループの生徒を包み込み、科学そのものの統一性を反映しなければなりません。


たしかにこの種のコースの主要な魅力の一つは、人文系志望の生徒も含めて、すべての高校高学年の生徒にとって身近なものになり得る点です。

社会と科学知識 9

今の所、一般科目こそ、よいSTS教育が中等教育において場を見いだすところ、その価値を真に示すところです。


突破口は確かにここにあります。


しかし適切なコースを考案する仕事は、STS教育に教育的識見を持つ全ての人に大変な負担をかけるものです。


一方ではわたしたちは、知的な能力や願望に関してはきわめて真剣であり、もっと大人っぽい世界に踏み込もうと待機しています。


しかし、科学そのものの知識は少なく、また科学が取り込まれている多面的な社会についてもほとんど何も知らない若者の大群を抱えています。


・・・他方ではわたしたちは活動と存在両面について多くの次元を含む、現代の最も複雑な文化組織に関するさまざまの事実、主題、意見を持っています。


さて、これをどのようにして有力な教育活動に一体化できるのでしょうか?


ここまで論じてきたどの方法も、無条件には推賞出来ません。


・・・実際、この導入段階では、STS教育へのはっきりした「方法」がある、という考えは全く誤っているのかもしれません。


この考えには、わたしたちが初等教育段階での理科教育から何とか除こうとしてきた、STSを一つのはっきりした「科学」にしようという考えと一脈相通じるものがあります。


真に必要なのは、科学について、歴史的、哲学的、文化的、社会学的、技術的、政治的、経済的、社会問題的、商業的な諸側面、有益な面と危険な面、不確かさ、倫理的面など、そのすべての面を・・・


これらの面のそれぞれをより立ち入って分析する、学問領域に言及することなくカバー出来る総合科目です。

社会と科学知識 8

教師にしても、適切に教えることが出来るほどには科学知識を持ってはいません。


どちらにしてもSTS自身まだ理論的に混乱した状態にあるので、Aレベルでの正式なコースにしてしまうと、空理空論化して人を迷わせるか、表面的に混乱してしまうでしょう。


多くの生徒が、自分の受ける理科教育の幅を広めるのに、他の普通の科目を選ぶ代わりに選択するような、とっつきやすいコースが必要なのでしょうか。


それとも日常的なものとはいくらかかけ離れた学問の道に向かってまい進する、極めて少数の生徒だけが選ぶような手ごわい、小さくまとまった専門科目を求めるべきなのでしょうか。


STS教育が高校高学年のためのカリキュラム中で占めるべき場所は、一般科目のなかです。


この一般科目は、多くの場合即興的で、台本の無い活動であり、その内容や目的は学校によってどうしようもなくまちまちです。


この種の科目がずっと存在し続け、またどの程度認められるかといった問題は、すべて不確定です。


カリキュラムのこの部分に正式の試験を課するべきか、もし課するなら、その結果にどのような注意を払うべきかといったこともよく分かっていません。


これらの問題は0レベルとAレベルの2つの資格試験の将来のあり方に関する大きな決定に依存します。


この点に関しては終わりのない、混乱した論争が渦巻いています。

社会と科学知識 7

例えば工専のONCコースで学ぶ電気技師見習いのためのSTSコースを計画すると考えるでしょう。


このコースは、将来の機械製図工、航空機の操縦士、保険の販売員あるいはスーパーの店長に対するものと、どのように違えればよいのでしょうか?


・・・別の言葉で言うと、この段階でのSTS教育の最終目標は、一般教育、個人の知的・道徳的発展、ひいては、社会における一般的能力、市民としての徳性に対して寄与することです。


・・・後にみるように、STS運動には、科学論をそれ自身独立した、はっきりとした学問分野にしようという傾向があります。


この傾向を是認する人たちは、STSのAレベル科目としての授業内容を整え、物理学、フランス語、機械工学などに匹敵する学問的水準、妥当性を与えようと期待します。


彼らは科学論の本質的要素、あるいは少なくとも科学史、科学哲学、科学社会学のいくばくかを議論することになるでしょう。


このことからわかるように、この提案は原理的には立派ですが、実際にはうまくいきません。


学校の生徒で科学の歴史や哲学に熱心に興味を持つものはほとんどいません。


この種の勉強の肝要な点を理解出来るだけの科学知識を持っている子供はほとんどいません。

社会と科学知識 6

STS教育が自己を確立するためには、科学技術システムの中で、あるいはそれと平行してその補足的役割を示さなければなりません。


このため、Aレベル、あるいはそれ以後の通常科学教育の完全な改草を強調するだけでは、STS教育の目標を達成することは出来ないでしょう。


真に求められているのは、STSのテ!マに限定された、明確な学習課程です。


・・・では、高校高学年「理科系学問」向きのこの種のコースには、どのアプローチを取るべきでしょうか?


職業的アプローチには大きな説得力はありません。


確かにこの方法で教育された生徒は、勉強を始めた頃に比べて、よりはっきりと理科的な職業に関心を持つでしょう。


・・・この段階で、いろいろな全く特定の職業に直結する科目を選ぶことが出来るでしょう。


しかし、これらの科目の多くは、後のより職業的な教育に対する準備として教えられます。


そして後の教育においてこそ、STS教育の職業的な面が強調されなければなりません。


つまり、医学およびそれに関連する職業の倫理的ジレンマと社会的役割を学ぶ場所は、学生がこの仕事の現実面にもっとも近付く医学部においてです。


どのみち正式の教育を18~19歳で終える技術者教育にとっては、職業的アプローチの視野は余りにも狭いようです。

社会と科学知識 5

試験でよい成績を得るのに必要な学業の水準は、決して気ままに決められたものではありません。


これは、有能な教師に指導されて、よく出来る生徒が一生懸命に勉強した時に成し得ることを表しています。


このため、わたしたちが、社会と関連あるトピックをいくらか含めることを強く主張するにしても、科学的な正しさ、知的な精密さ・・・


あるいは他の伝統的な良さによって容易に正当化され得る他のトピックの多くと、授業計画の中の時間の割当てや注目度に関して競合しなければなりません。


この点は、極めて重要なポイントとなるのです。


STS教育への願望は、理科教育のありふれた内容を、技術的、社会的問題に少しばかり関連を持たせるだけで充足させる訳ではありません。


関連させること自身は、昔ながらの考えを持つ理科教師の多くも反対し得ない、きわめて願わしい傾向です。


しかし、この傾向を強調しすぎて妥当な理科の高い学問的水準を相当落とすようなことがあってはならないし、又、そのようなことは出来ません。


STS教育は在来の科学技術教育の全ての道具立てに直接出会えば、それに打ち負かされてしまうでしょう。

社会と科学知識 4

「妥当な」科学のAレベルの科目のそれぞれを、なるべく社会と関連させたものにすればよい、と主張するのは易しいことです。


科目の諸概念の階層を登っていく生徒をさして妨げることなく、この目標を実現するちょっとした方法がいくつもあります。


例えば、新しい科学的概念を、古めかしい実験設備で示すという陳腐なやり方のかわりに、ボイルの法則を、水銀上に閉じ込めた空気ではなく深海潜水や天気予報に結び付けて説明する、という類です。


しかし、科学的知識に関する論理的理由ではなく、むしろ教師の限界、それに高等教育に進むための入学試験による不活発さのため、総合化された学際的科学の教育理念は、ユートピア的です。エグゼクティブトレードによると、学際性、あるいは社会との関わりを通じたSTS教育は、主として「妥当な」科学に割り当てられた科目から無理なくさけるものよりも、はるかに多くの時間と努力を必要とします。


Aレベル理科の学問的水準はきわめて高いが、それにはあらゆる点で十分の理由があります。


17歳や18歳の青年が化学や植物学を勉強するというからには、きちんとしたことをやっているべきです。


学ぶべき事、理解すべき事は大変に多いのです。

社会と科学知識 3

英国の伝統的な教育制度では、生徒たちは学習する科目をもう少し絞り込み、2つないし3つ(時には4つ)の科目でよい成績を得ようとしなければなりません。


現実には彼らの大部分はある職業につくとはっきり決めている訳ではありませんが、それでも比較的狭い範囲で科目を選ぶことが多いようです。


・・・例えば物理、化学、数学、あるいは化学、生物、家庭科といった具合いです。


Aレベルの科目を学ぶ生徒の全てが、「科学」を目指しているわけではありません。


しかし一般的に言って、以後の人生において研究者、技師、技術者、医師、理科教師、工業関係の管理職と言った、何らかの形で科学技術に深く関わる仕事につく若者をここでわたしたちは扱っている、と言ってよいでしょう。


少なくとも彼らに対しては、STS教育の重要性は疑うべくもありません。


しかしこれをどのようにして高校高学年のカリキュラムに持ち込めば良いのでしょうか。

社会と科学知識 2

学校での他の科目と関連づけ、科学とわたしたちの文化の全諸相との関連を強調する道も開けます。


科学教育は、例えば科学革命、技術革命の歴史的重要性を強調することによって人文科学と関わるべきです。


・・・また、それ自身もともと科学的内容を多く含み、鉱物資源の枯渇、人口増大といった現代のかかえる主要な問題のいくつかと直接関わる地理学のような環境関係の学問と関連付けられるべきです。


現在見られる理科教育における革新の気運は、無政府的で首尾一貫しません。


社会との関連、学問のワクを超えた統一化への要求まではよいとして、その先には詳細なプログラムが欠けています。


いろいろな意味で、ここ数年を考えると、STS教育にとってもっとも魅力的な問題は、この変革を触媒することであり、かつ、STS教育によりはっきりした理論的基礎を与えることです。


高校高学年では、それまでの学際的な自由度は、GCE-Aレベルでの「妥当な」科学の科目のために道を譲ることになります。


多くの子供たちが学校を離れる年齢を過ぎても、まだ勉強を続けるような生徒の大部分は、より高度の技術を要求する職業、技術的な仕事あるいはその見習い・・・


あるいは高等教育を受けた後につく遙か先の職業を指向しています。

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