説得のための表現力 3
しかし、言葉を知ることだけでは不充分です。
なぜなら、言葉には現実的な意味があり、言葉の意味に対して、人は自らの体験と立場によって解釈してしまうからです。
このため、同じ言葉を使いながら、受け手の人は自分なりに勝手解釈してしまうのです。
ましてや話し手のほうが勝手解釈して使っていてはどうしようもないです。
反戦運動が現実的輪の広がりに限界があるのは「戦争反対」ということは確かなことではあっても、焼夷弾に追われた世代はその意味で捉え、学童疎開でひもじい思いをした世代はその意味で。
南方でトカゲまで食べたジャングル生活の体験者はその意味で。
原爆のピカドンの体験者はその意味で、各人それぞれに受けとめてしまっているためといえます。
戦争反対という点では一致していても、具体的運動や活動という点でバラバラになってしまうのです。
言葉は受け手の立場、レベル、体験によって受けとめられるのです。
この混同を防ぐためにあるのが、言葉や用語の概念規定です。
つまり「あの言葉の意味は、こういう意味であるぞ」という意味の限定です。